IE9ピン留め

24年 2月号 324号 表 上の段

〔 家族の絆というけど・・・〕
二千十一年を表す字に選ばれた漢字は「絆」でした。それ程に人と人のつながりの大切さが身に沁み、求められた年でした。
 感謝という言葉は有難いことを失ったときに思い出されるといいますが、絆という言葉も不幸な時、失意時に気づかされる言葉かもしれません。困っていないときにはそれ程の必要性を感じないけど、
困った時には妙に有難く思え、寄りすがり、希望になる言葉です。
 震災以後結婚する人が増え、また結婚を願望する人が増えたと言います。読売新聞の記事「日本あれから 幸せの座標」によると、『一年余り交際をしていた男女が「親戚付き合いが煩わしい。一人の方が気楽でいい」と結婚は望んでいなかったけど、大震災で気持ちが一変して「いいことも悪いことも受け止めるのが家族。せっかくの出会いを大切にして一歩踏み出したい」と結婚した』。
 人と人の絆は友達であっても、知人、近所関係でも作られるものですが、やはり「絆」といえば「家族」。友達では本当の「絆」は難しいのかな、と逆に思ってしまうのですが。それだけ「家族にな
る」ということは重みのあることであると改めて感心しています。
 また、精神科医の香山リカさんは語っていました。「最近昔ながらの家族がいいという気分が浸透している。家族なら自分を無条件で受け止めてくれると思っている。しかしこれは幻想だろう。
私たちは家族のしがらみから逃れようと、核家族や一人暮らしの自由な社会を望んできた。これに伴い地域の力が弱まり、子育てや介護など家族に求められる責任がかえって増した。私の診察室は家族関係で悩む人が多く訪れる。親の存在が重たいという子、ニートやひきこもりなど心理的、経済的に子供に依存されている親もいる」。
最近は家族間の犯罪が多く、犯罪の半分が家族間だといわれています。それでは家族であっても絆はないに等しいものです。絆について冷静に考えると、「絆」とはよい意味だけではないようで、人をつなぐものであり、縛り付けるものにもなります。
確かに、家族ほど煩わしいものはないと思うことは誰にもあるでしょう。家族は大切だからあれこれと口出しをします。指導や期待や心配は支配や干渉にもなります。また本音のぶつかり合いは喧嘩になります。遠慮ない要求、甘え、我が儘。親し過ぎて礼節も欠きます。露骨な言葉で心を傷つけます。依存しすぎて自立を妨げます。
当たり前すぎて感謝すら忘れてしまいます。逃れたくても逃げられない、切りたくても切れないつながり。そこに家族間のトラブルが起こるわけです。しかし、人は家族だから命がけで守ろうとします。
人は家族なくして生きていけません。家庭は生きる基盤です。子供は親に育てられ、親は子供によって育てられ、家族は家族によって育てられるものでしょう。
モラロジー格言には三十八「深く親近を愛して力を社会に尽くす」の教えがあります。
格言では「どんなに国家社会、地域、他人のために献身的に努力しても、親に心配をかけたり、家族を苦しめ悲しめたりするようでは、周囲の人々の信頼を得ることはできません。また、このようなことでは、その努力は長続きせず、良い結果をもたらすこともできないのです・・・」とあります。つまりは家族を大切にすることのできない人は他者への愛も不安定、信頼し合うよい絆をつなぐことも難しいということです。なぜなら、都合が悪くなったり、相手が気に入らなくなると豹変する可能性があるからだといいます。
そこで、なおさらに「家族の絆を大切にしよう」というスローガンだけでなく、絆を育てるためにどうあるべきかを具体的に考え、円満で居心地よい家庭を作る事が大切になります。
モラロジーは常に「道徳は家庭から」と説いています。家族間にこそ本当に必要なのが、礼儀であり、愛の言葉、肯定的な言葉であり、いたわり、思いやり、感謝の心です。
家庭は安らぎと微笑みのある温かい、明るい、まあるい空気の楽しい場所で、家族は苦しい時に支えとなり、希望となり、救いとなり、勇気づけになり得なければならないのです。
家族の人間関係を「オーケストラ」と表現する人がいますが、私は「煮ころがし」と考えます。自己主張して、ぶつかりながら、一つ一つが美味しく煮られていく煮物です。家族という鍋の中で、個を尊重しながらも他者を尊重する共生の関係です。
私の父はいつも次のように言っていました。「家族皆で先祖祭りをしていると何かあった時、必ず家族の心が一つにまとまる」。なるほど、複雑な人間模様をひとつにまとめる役割がご先祖様の威力かもしれません。
 新聞の人気漫画『コボちゃん』の作者である漫画家の植田まさし氏「家族は我慢が大事だ・・・そんな風にいろいろと縛られてはいますが、やはり家族はいい。船でいうと母港。最後に戻る場所があるというのは安心できます」の言葉が微笑ましくほっとします。「家族」とは「帰りたくなる母港」ですが、さらに、「母港」になる人がどんどん増えて欲しいものです。

# by nizicanvas3 | 2012-01-27 22:32 | まんりょう

324号 表

【古典に学ぶ】〔清川妙古典教室〕
  心が動いたら、すぐに体を動かそう
   人の命は雨の晴れ間を待つものかは
 徒然草第一八八段。ある場所である人が「ますほの薄とまそほの薄と二つの言葉の使い分けが分からないが、渡辺というところの上人がよく知っている」といいました。するとそれを聞いていた登連法師が「箕と傘を貸して欲しい。これからその渡辺に行ってくる」というので「なんとせっかちな、今は雨が降っている雨が止んでから行けばよいではないか」と言うと「人の命は雨を待たない」といって飛んで出て行ったという話です。
兼好は登連法師の決断の的確と行動力を称賛しています。「心が動いたら則行動」、いつかいつかと大
切なことを後回しにしがちな私たちに「時は命を待たず」「時は金なり」を教えてくれています。
清川妙著『人生を楽しむ言葉』より

月刊『朝礼』の記事より
〔 レディーファースト 〕 
目の前に年配の女性が立っていたのですが元気そうな姿を見て席を譲ると失礼になってしまうのではないかとためらっていました。
すると、隣に座っていた青年が立ち上がり、「どうぞ」と声をかけました。彼女は「席を譲られる年ではありません」と言い、気を悪くしたようです。すかさず青年は「レディーファーストですよ」と返しました。彼女は少し驚きましたが微笑みながらお礼を言って席に座りました。
青年の行動は実にスマートでした。このような行動は心に余裕と優しさがないとなかなかできないものです。
心にゆとりをもち、軽いユーモアを交ぜながら話すと相手もリラックスします。仕事の場合も同じことがいえます。相手が思わず微笑んでしまうような会話を心がけたいものですね。《心にゆとりを、会話にユーモアを》

# by nizicanvas3 | 2012-01-27 22:20 | まんりょう

324号 表

【 生活お役立ち情報 食卓 】
〔家庭でパンを作る人へ『ご飯パン』の勧め〕 
米粉ではありません。残りご飯を利用して作ります。粉の三分の一くらいご飯を入れてこねます。後の分量は普通のパンと同じですが、水量を減らします。冷やご飯なら温めて使います。ご飯は粉の半分くらいまで入れることができます。絶対に失敗しない、硬くなりにくく日もちがする、美味しいパンです。ご飯食推進運動です。
〔牛乳に甘酒〕
牛乳に甘酒を入れて飲むととても美味しい。甘酒の風味が消えて、また牛乳臭さも消えて、お年寄りにも好評の飲み物になります。

二月十一日 建国記念日
 日本の国の正式な誕生日は二月十一日。歴史的誕生日で、神武天皇が橿原の地で即位された日です。
今年は皇紀二六七二年です。そして今年は古事記編纂より一三〇〇年です。日本の国の誕生日をみんなでお祝いしましょう。各地で記念式典が開催されています。参加しましょう。外国のように、国をあげて建国を祝う日がくることを願います。
なお、我が故郷 津山市を中心とした美作地区は来年が美作の国の誕生一三〇〇年です。
(誕生の記録が文献に残っている)

# by nizicanvas3 | 2012-01-27 22:17 | まんりょう

324号裏

橋本武氏は明治45年生。現在99歳。現在でもまだ教育活動をされている。
作家故遠藤周作氏、神奈川県知事黒岩沈まぬ太陽のモデル海渡氏。裁判員制度定着の山崎氏。その他、現在各界の第一線で活躍している教え子が多い。
 最近「源氏物語解説」を発表された。橋本氏(エチ先生)の授業については『奇跡の教室』小学館、『恩師の条件』リヨン社。等多数の本がある。橋本氏自身の著書も多数ある。                       

『銀の匙』とは・・著者は中勘助—作家・詩人/漱石の弟子。明治18年~昭和40年漱石から高く評価された作品として有名。
明治大学斉藤孝教授の言葉「私自身『声に出して読みたい日本語』の中に入れましたが、この作品はある時代、ある地域の下町の少年の体験が瞬間冷凍されて届けられているという稀有な作品です。だからと期を隔てた今も、子供の心の揺れ動きや、その時周りにあつたものを克明に手で触れるように味わえます。繊細な情緒を学ぶことができますし、人が育っていく時の望ましい、温かい関係性も見てとれ、人としてもまっとうな育ち方を一つの進化のような感じで読める作品で

# by nizicanvas3 | 2012-01-27 22:10 | まんりょう

324号 裏上の段

【教育】 〔 丁寧に学ぶ スロウリーディング〕
 本を読むのに「速読」に対して「遅読」という読み方があり、一冊の本を丁寧にゆっくりと読むのです。最近その「遅読」が話題になっています。それはまだ無名だった神戸にある灘高校を東大合格率日本一にした橋本武先生の教育法です。
 国語の教師の橋本先生は、子供たちに本当の学力を身につけさせたいと思案し、「銀の匙」という本を「三年かけて授業する」を考案されました。教科書を使わず、小さな一冊の本「銀の匙」を三年間かけて丁寧に読む、という前代未聞の授業です。
登場人物の見聞を追体験したり、一言一句を丁寧に読み解き、そこからいろいろな話題に膨らませて、調べ、体験させ、一週間に一ページしか進まないことも日常茶飯。
しかし、その教室の生徒達はほとばしる探究心とキラキラとした好奇心で満ち溢れ、誰もが活気づいていた授業だったのです。
「銀の匙」には四季折々のたくさんの行事が出ています。それらの行事をすべて生徒たちに調べさせ、体験させていました。
面白いことに、最近の調査では、端午の節句にちまきを食べる等、日本の歳時記を実践している家庭の子は成績がよいということです。歳時記を知る子は「気づき」がよいのです。
橋本先生がこの本を選んだのは、四季折々の自然や生活の行事が載っていることにあったようですが、季節のグラデーションを察知する感受性こそが「気づき」の力につながり、興味をおこして学んでいく姿勢になっていると語っています。
「生活周辺のことが国語力になる」と自分たちの生活から興味好奇心をスタートさせて、頭脳と心身を鍛えていたのです。
 古典の清川妙先生はいつも「分からないことはすぐに、辞書で丁寧に調べて」を実践されていますが、まさにこれです。
 以前、「英語は日本人の一割しか使わない」という本を紹介しました。非常に面白い確信的な本ですが、その本では「日本語力を鍛えよ」と述べ、読書と外遊びを勧めていました。
橋本先生も「国語力はすべての教科の基本です。学ぶ力の背骨です」と述べて次の話を出しています。「夏休み明けに英語力がぐーんと伸びる子がいます。その子らの共通していることはみんな読書好きであること。読書好きな子は難しい問題の壁を前にすると乗り越える力がある」といっています。
じっくり丁寧に銀の匙を読み続け、内容を調べ尽くした子たちが身に着けたのは、まさに地に足の着いた知識と強い背骨だといえるようです「銀の匙」の子供たちに共通するのは、ロマンチックで、陽性で、青空を切って進むような感じであること、答えを急がないということ。「すぐ役に立つことはすぐに役に立たなくなる」が先生の生涯変わらぬ持論。橋本先生自身は大変な多趣味の人で、遊び心のレベルの高い人。だからこそ遊びを勉強に持っていくことができ、子供たちに魅力を感じさせたのだと言われます。熱狂的宝塚ファンというのもユニークさを感じます。「丁寧に学ぶ」「徹底的に調べる」「研究のレポートを提出させる」等は橋本先生が五十年間続けた授業でした。

# by nizicanvas3 | 2012-01-27 22:07 | まんりょう
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