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6月号 №376 表面

〘 小さな実行を続けて行う意義  〙 

かなり以前姫路の埴岡さんという素敵な方の道徳実行

の話を聞いたことがあります。その実行とは車を運転し

て家に帰った時、車の鍵を仏壇に置いてご先祖様に無事

に帰ったことを感謝、出かける時には鍵を置いた仏壇に

「行ってきます」と挨拶をしているという事でした。

当時、その話を聞いて、以来三十年ずーと

実行を続けておられる方がいます。その方は

「続けていると気付くことがたくさんありま

した」と話されていました

当時同じ話を私も聞き、実行してはみましたが、一日

に何回も車で出入りする私には「これは無理だわ」と短

い期間の実行でやめてしまいましたが、その方は続けて

いたのです。実行した三十年の軌道、しなかった私の

三十年、惜しいことをしたかもしれないと思いました。

モラロジーの格言集三十に「持久微善を積んでたゆま

ず」には「善行は一時的で長続きしないことが多く、

私達の品性を向上させるうえで力が弱い。たとえ小さな

善行でも持続して行うことによって大きな成果をもたら

す」とあります。つまりどんなに素晴らしい立派な事で

も、一時的ではよい結果をもたらすことは難しいのです。

 つまりどんなに栄養のある食べ物でも、まとめて一度

に食べてもその効果はなく、やはり毎日少しずつきちん

と食べることで身に付くのと同じで、寝貯め、

食べ貯めはできないのと同じ話です。

 月刊雑誌『朝礼』に「積み重ねる強さ」

と題して次の文が掲載されていました。

 小説家でナチュラリストのC・W・ニコルさんが日本

の学生達と南極に行ったとき体験して語ったことですが、

雪が激しく降り、一週間以上テントの外に出られない日

が続いたとき、そのような状況でも音を上げず頑張りぬ

くことができたのは、運動部に所属しているような体力

に自信がある人ではなく、毎朝起きるときちんと顔を洗

い、ひげを剃る人だった。そのような人は普段から髪や

服装も小綺麗に整えている。またマナーを心得ている人

も困難に強いとニコルさんは言われます。

何でもないような小さなことを実践できる人こそが

困難な局面を粘り強く頑張ることが出来る・・・ということです。◆

◆毎日の生活の中の実行はほとんどが小さなこと。しかも実行

すべきことは身の回りにたくさんあります。それを同時並行で実

行すれば長い人生には相当な量になるでしょう。

自分の人生を振り返った時、やったんだという誇りに思えるこ

とをたくさんしていきたいものだと、人生が残り少なくなった最近

特に思います。

 三十年遅れですが、私ももう一度車の鍵を仏様にお預けすることを始めました。

しかし、相変わらず出入りの多い日々、やはり朝夕だけの実行のようです。

    〘  本紹介  〙

『自閉っ子のための道徳入門』、タイトルにすごく興

味を感じて読んでみて感動しました。そしてこの本は子

育ての手引きとして誰も読んで勉強する必要がある、と

以前この「まんりょう」の紙面で紹介しました。

この子が社会に出て立派に生きていけるように親は

どう育てていくか、愛情いっぱいの厳しくも温かく取り

組む「社会の中で生きる子どもを育む会」の本です。

地元津山の大石明美さんが『自閉症の兄弟を育てたあ

る家族の流儀』(学事出版)の体験記を出されました。

息子二人が重度と中度の自閉症。ちょっと想像のできな

い子育て。しかし大石夫妻は子供達が社会の中でちゃん

と生きられるように明るく、愛情いっぱい、自律心、自

立心を養うべく厳しく、しっかり育て、現在二人の息子

は施設の中で働いて生活しているということです。

 大石さんは現在働くことの大切さを指導する療法の場

「じゃがじゃが」を立ち上げて活動されています。

健康の一、十、百、千、万

 一・朝起きて一杯の水

 十・十人の人と話をする

 百・百字の字を書く

 千・千字の文字を読む

万・一万歩歩く

  〘 日本人の心を導く渡部昇一氏の死を悼んで 〙

四月、渡部昇一氏が八十六歳で亡くなられた。訃報が報

道される直前に渡部氏の一番新しい本『この動乱の

世界で光り輝く日本人の生き方』を読んだところだった。

ジャーナリストの櫻井よしこ氏は「今、日本はとても大

事なところに立っていて、渡部先生に先頭に立って日本の

あるべき姿を論じていただけたら、どんなに力になったか

と思うと本当に残念です」と語られたが、まさに「巨星落

つ」、日本のよきリーダーがまた一人亡くなられ残念だ。

氏は上智大学の名誉教授。英文学者だが、日本の文化や

歴史、政治、時事にも大変詳しく、多岐にわたる分野の著

書が大変多い。GHQの戦後政策の誤りを訴え、誇りや自

信を失った日本人に「日本は素晴らしい国だ」ということ

を常に発信されていた。私の尊敬していた大切な一人だ。

私は氏の講演会に三回ほど参加した。一回は呼吸の勧

めで有名な口腔科の西成克成医師の研修会で世界的名著の

『人間この未知なるもの』著書アレキシスカレル()

ついての講演だった。(その本の日本語翻訳者は渡部氏)

ノーベル医学・生理学賞をもらったカレルは心と魂の体

に及ぼす影響を説いた方、医者でありながら難病を治すル

ルドの水を紹介してフランスの医学界から排斥されたとい

う人。医学にも造詣が深い渡部氏の話に感動した私は氏に

お礼状を書いた。というのも亡き父が発行していた新聞

「日本」「世論」に何回も投稿して下さっていたからであ

る。その御縁で津山にも講演に来られた。氏は父の事をよ

く覚えて下さっており、大変な達筆の丁寧な返信を

下さった。私はその手紙を家宝として大切に保存している。

三回目は「致知」出版の講演会だった。皇室についての

お話だった。いずれも分かりやすい素晴らしいお話だった。

蓮坊氏の二重国籍の問題がある。その問題はまだあやふ

やだが、渡部氏の最期の著書には「なぜ国籍が重要か」の

説明があった。戦争中日本の放送局に東京ローズという女

性がいてアメリカの兵士の士気を欠く放送を流していたと

いうことで死刑になった。彼女は日本人だがアメリカ国籍

だった。日本人であってもアメリカ国籍の者がアメリカに

不利なことをしたから死刑になったのだ。歌手森山良子さ

んのお父さんはアメリカ国籍を取っていたが、日本国籍に

戻していたためスパイとは見なされなくて死刑にはならな

かった。日本人が日本の為にスパイをするのは当然だから

だ。歌手の李香蘭(山口淑子)も日本国籍だったから中国の

死刑を免れた。という氏の説明で国籍というものが

どれほど重要なものであるかを知って戦慄が走った。

 渡部氏からはまだまだ学びたいことがいろいろある。幸

いたくさんの著書があるので今後も勉強できるから有難い。



by nizicanvas3 | 2017-05-27 20:50 | まんりょう
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モラロジー道徳の普及を目的にしたブログ


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