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まんりょう 11月裏 上の段

『 日本で一番大切にしたい会社 』
「六千社のフィールドワークで見出した日本一価値ある企業」と題したこの本では選り抜きの五社を紹介しています。
著者法政大学教授の坂本光司氏は長期に渡って好業績を持続している企業や世のため人のためになる経営に一生懸命取り組んでいる価値ある企業を尋ねた調査で他にも十六社取り上げています。
著者の本を読んでいてこれは経営だけでなく、生き方の話、だから誰もが読んで欲しい本だと思いました。
★うまくいかない経営者が必ず言う「五つの言い訳」
①景気や政策が悪い ②業種、業態が悪い ③規模が小さい④ロケーション、場所が悪い ⑤大企業・大型店が悪い
このように強い被害者意識をもっていて「原因は内ではなく外にある」と思っていること。彼らのもう一つの特徴は、社員やその家族、下請けや顧客の幸福を願う気持ちが総じて弱い・低いこと。
私は経済も経営も門外漢ですが、著者が言われていることは私にも簡単に理解できました。
先日ある温泉街に行きました。そこは衰退の町といわれていますが、行ってみるとなるほどと思いました。「上に道が出来て温泉街を素通りしていく、だから町に恩恵が無くさびれている」と聞
いていましたが、それだけではないことを感じました。
島根県の石見市に「中村ブレイス」という会社があります。過疎化の進むこの場所で、日本でまだ義肢装具のニーズのほとんどなかった時代に中村さんがたった一人で立ち上げた会社です。
義肢が必要な人のために、こつこつと作り続けて、じわりじわりと評価を高めて、今では日本中から入社希望者が集まり、世界中からお客が集まるようになりました。この会社では五体不満足の方や高齢者の方などが人間の尊厳を失わないで生きていくことを支えるものを作っています。
中村ブレイスは「十年後には日本の人々にとってなくてはならない会社になろう、二十年後には世界の人々になくてはならない会社になろう」ということを夢見てこつこつとよいものを作ることに一生懸命努力してきた会社です。世の中に本当に必要なものを作っているのです。著者の坂本さんはいいます。
「自動車や電気製品というものを作る人は多い、だからみんながそれに群がるために競争が激しく、安い、儲からないと文句ばかり言っています。日本では医療や福祉、介護関係に必要なものを作る会社がまだ少ない。それらの多くは輸入品に頼っています。
それは責任と手間の要る仕事だからです。だから作る人が少ないのです。日本に弱者のための物作りの産業がもっともっと増えれば貿易摩擦なんか生まれないでしょう。高齢化社会を迎え、こういうものの需要は確かに増えています。
かつて高齢者にどんなものが欲しいかを調査したことがあります。その結果をみたとき私達はなんて高齢者、身体の不自由な人たちのことを知らずに生きてきたのだろうということを思い知らされました」といわれています。
「必要なものを必要としている人へ」の経営者の中村さんの人を大切にする、弱者へのいたわりの気持ちは仕事に反映しています。
最近作っている人工肛門(スマート)がそうです。なんとか日本人の体に合うものをと研究を重ねて作ったのです。
「国や県がこのような業種の会社をもっと大切にするという方針を出せば、この業界がもっと活気付くと思います。これは一企業の利益というより社会の利益になるからです」という著者の言葉の大きさに納得します。
以上はひとつの会社の例ですが、その心は他の会社でも同じです。今一番大切なことであるにも関わらず、軽視されがちな真実や本質を直視し、「世のため、人のため」という考えで仕事をされている人たちの会社は間違いなく繁栄しています。
★わかっていない経営者が増えている
 会社は経営者や株主のものではない。その大小に関わらず、会社は社員、従業員、その家族、顧客、地域社会、その企業に直接かかわるすべての人々のもの。公私混同経営、私物化経営ではどんなに高い技術を擁し、どんなによい商品を提供したとしても「企業は社会みんなのものである」という根本原則を忘れ社会の公器としての責任や使命をないがしろにしている会社は結局崩れていくのです。
会社経営とは「五人に対する使命と責任」を果たすための活動
①社員とその家族を幸せにする
②外注先・下請け企業の社員を幸せにする
③顧客を幸せにする
④地域社会を幸せにし、活性化させる
⑤自然に生まれる株主の幸せ
★業績ではなく、継続する会社を目指す。
会社経営の第一義は、社員とその家族の幸福を追求し、実現することです。だからこそ継続しなければならないのです。
会社は継続するために、業績や成長が必要なのです。会社の発展は「五人に対する使命と責任」を果たしているかどうかで決まるといってもよいといわれています。
 もうひとつ伊那食品工業という会社を簡単に紹介します。
それは長野県にある寒天メーカーです。寒天メーカーという斜陽産業の中で、四十八年間増収増益を果たしてきた会社です。
その会社のモットーは「会社は社員の幸せのためにある」で、「いい会社」つくりの努力をしてきたのです。いい会社とは単に経営上の数字ではなく、会社を取り巻くにすべての人々に「いい会社ですね」といってもらえること。だから五十年間一度もリストラもなく進んできたのです。そしてもう一つの経営
方針は同業者とも戦わないことです。それにはオンリーワンの商品を作ること。敵になりがちなのは同業者より下請けだといいます。ですから徹底して下請けを大切にしています。
他には障害者雇用で有名な「日本理化学工業」。地域に生きることにこだわって、北海道以外に店を出さないお菓子の店「柳月」。さびれた商店街に光輝く小さな店「杉山フルーツ」
などを紹介しています。

by nizicanvas3 | 2010-11-05 21:41 | まんりょう
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モラロジー道徳の普及を目的にしたブログ


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