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343号 裏面

     〔 今、まさかの坂に  〕
 人生には登坂、下り坂、まさかの坂があるといいます。七月に「まさかを受け止める」のテーマで講演会を開催しました。小さなまさかは日常茶飯時ですが、私は今、大きな「まさか」を受け止めつつ過ごしています。かなり以前から脊椎狭窄症があり、治療しつつなんとか過ごしていましたが、年の初め頃から手足の感覚の異変が強くなった為、詳しくMRIで調べた結果、首のヘルニア、腰のヘルニア、スベリ、椎間板の圧迫、つぶれ等、随分たくさんのメニューがあることが分かりました。それらの画像を見たとき、かなりショックでした。そして歩くのが難しくなり、ついに長距離は歩けなくなりました。今まで特急列車のように動いていたのが、今は普通列車になりました。「それくらいでちょうどいいんじゃない」といわれることがありますが、私はまだ六十五歳、まだ埋もれたくない、自由に動きたい! まだ十年以上は第一線で頑張れると思っていた私にとって「青天の霹靂」「人生のまさか」で悔しいです。役に立たない自分、今後動けなくなったらどうなるか、これから先この痛みとしびれを抱えていつまで生きていくのかという悲壮感も漂い、元気印の私もさすがにへこみます。
視力が低下してきたので調べると白内障にかかっていました。
健康には人一倍気をつけてきたのに、早すぎる老化現象を素直に受け止め兼ねているのですが、次の話が思い出されます。
 無風性壊死という難病で十三年間苦しんでいたかとうみちこさんは、十三年間シベリアの抑留生活を体験した城野宏氏の言葉に救われました。「かとうさん、病気だ、病気だと言っているけど
目はみえるじゃないか、耳は聞こえるじゃないか、左足は動くじゃないか、体全体が病んでいるわけではないよ。つらい悲しいと嘆いて生きるのも、楽しいこと嬉しいことを見つけて生きるのも
同じエネルギーを使うんだよ。どちらで生きるのがいいかな」。その時、みちこさんは「同じ生きるなら楽しく生きよう」と生き方を変えて病気が改善し、その後元気で活躍されていました。
雑誌『れいろう』の八月号には、突然の事故で半身不随になり、苦闘の後、思い直して懸命のリハビリで奇跡的に回復して「命の授業」の講演活動をされている腰塚氏の壮絶な体験記事が載って
いました。みちこさんや腰塚氏の体験に励まされつつ、「恩寵的試練」の過ごし方を今模索している私です。「運命の責を負うて感謝する」という格言が時々頭をよぎります。
心の痛みもつらいけど、治らない体の痛みをもって生きるのも辛いものです。それでも頑張って痛みと共存して生きている人たちがたくさんいることを思いやり、改めて感服します。
私のこれほどの故障は、以前の激しいスポーツやアキレス腱や脹脛の靭帯の切断で歪みを生じた上の無理な体の使い方が原因とか、本やまんりょうの原稿を書くのに、コタツの上で小さなノー
トパソコンを長時間、長年の悪い姿勢の積み重ねとか、いろいろのようですが、「痛いの、辛いの、を枕詞にしないようにしています」と言われていた清川妙さんの言葉を時々思い出して苦笑し、
「枕言葉は厳禁」と自分に叱咤激励することがあります。
それでも、何とかしなければといろいろ調べ、今は岡山まで体のバランスを整える「しんそう療法」等に通っています。
(※しんそう治療はインターネットに出ています)完治はできないけど、体のバランスを取ることで楽に過ごせるようになるそうです。事実、かなり効果はありました。そして、筋トレや
ストレッチ、深呼吸で筋肉強化、体のバランスをよくすることも毎日少しずつ実行しているこの頃です。欲を出さず少しずつ、無理なく、ゆっくりと、気長に毎日続けるのがよいそうです。
 問題のパソコンですが、画面の大きなパソコンと座りよい椅子を買い、目や腰の為によい姿勢の生活に気をつけています。
まさに格言「原因を追わず善後を図る」です。「病と上手に付き合う」と言われますが、まさにこれからの私がそうです。
「上へ上へと伸びるより、奥へ奥へと歩みなさい」(『神様に褒められる生き方』岡本彰夫著より)の言葉に出会ったとき、そうか、私は上を目指すのではなく、根を深く張って、人生の総仕
上げの準備をする時期に入ったのかな、それは老いを受け入れる覚悟が必要だということかと思ってみたりしました。
「ゆっくり」「深く」「ていねいに」それがこれからの私の課題とすべきかと思います。人は常にいろいろな言葉に励まされて生きていくものであることを実感しています。またいろいろな
人がよい情報や体験を教えて下るさことも有難いことです。
次に新美南吉の童話『でんでん虫の悲しみ』を紹介します。
 一匹のでんでん虫がある時気づきました。「私の背中の中には悲しみがいっぱいつまっ
ているのではないか」と。不安になって、仲間のでんでん虫たちにそのことを話しまし
た。仲間たちはみんな言いました。「あなたばかりではあり
ません。私の背中の中にも悲しみはいっぱいです」
みんなも悲しみを背負っていることが分かったでんでん
虫は「悲しみは誰でももっている。私は私の悲しみをこら
えていかなきゃ」と気づき、嘆くのをやめました。
この話は十年ほど前、皇后さまが「子供時代の読書の思い出」として、国際児童図書評議会の基調講演で紹介されました。(講演はビデオで世界中に放映)。
新美南吉作「ごん狐」「手袋を買いに」等は特に有名。

by nizicanvas3 | 2013-08-29 21:58 | まんりょう
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